■Event Report
東京証券取引所とプロネクサスは9月28日(金)、東京・茅場町の東証会館1Fにある「CAFE SALVADOR」ビジネスサロンで、女性30名に限定した投資勉強会「インフラファンド女子会」を開催しました。今年3月の「J-REIT女子会」に続く、女子会企画の第2弾です。
前回同様、参加費は無料。会場は小ぶりな円卓を3つのグループにまとめて配置してあります。通常の投資勉強会やセミナーとは違ったおしゃれな雰囲気のなかで、参加者は有名店のスイーツ&ドリンクを楽しみながら「ECO投資で女子力アップ」をテーマにインフラファンドについて学ぶことができました。
株式会社三井住友トラスト基礎研究所
海外市場調査部 兼 PPP・インフラ投資調査部
副主任研究員 風岡 茜氏
最初に登壇したのは、三井住友トラスト基礎研究所の海外市場調査部兼PPP・インフラ投資調査部副主任研究員の風岡茜さん。上場インフラファンドの基本説明として、4つの投資魅力とリスクなどを簡潔にまとめていただきました。
「インフラファンドの魅力としては、①分配金利回りが高い②分配金の安定性が高い③社会的意義が大きい④情報透明性が高い――の4つを挙げることができます」。
「国による『再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)』によって分配金が安定しています。買取価格は発電事業に係るコスト低下に伴って毎年徐々に下がっていますが、インフラファンドがすでに保有している物件の買取価格は下がりません。個別の発電施設の売電開始から20年間は原則として当初の買取価格で固定される仕組みだからです。専門家でもこの点を誤解している方が多い。インフラファンドが現在保有している88物件の平均買取価格は37円/kWhです(*)」。
「投資上の留意点としては、太陽光発電施設のみに投資している『集中投資リスク』、市場規模が小さいことによる『流動性リスク』、FITなどの『制度リスク』、『天候・災害リスク』などが考えられます」。
(*)2018年10月1日現在の取得予定物件を含む件数ベースの加重平均。出所=各投資法人開示資料をもとに三井住友トラスト基礎研究所。
タカラアセットマネジメント株式会社
投資運用部 課長 熊谷 ちか子氏
次は協賛3社によるミニプレゼンで、各社の強みや特徴が説明されました。講師は、タカラアセットマネジメント(タカラレーベン・インフラ投資法人:9281)の熊谷ちか子さん、いちご(いちごグリーンインフラ投資法人:9282)の吉井潤子さん、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント(カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人:9284)の石山貴子さんの3人。
「当法人はインフラファンドとして東証上場第1号です。保証型の賃料形態など利益分配を重視した分配方針です」(タカラアセットマネジメント投資運用部課長の熊谷ちか子さん)。
「発電所の地域分散、個別設計で堅固な発電所の造り、発電量をリアルタイムで公開する透明性の高い情報開示などの特徴があります。各地の発電所設置場所は休耕地などを利用、現地雇用を進めるなど地域との共生を強く意識しています」(いちご管理本部IR推進部長の吉井潤子さん)。
「当法人のスポンサーはグローバルにビジネスを展開するカナディアン・ソーラー・グループ。現在は18物件474.9億円(*)という日本最大規模のインフラファンドです。少なくとも今後3期にわたって安定分配を予想しています」(カナディアン・ソーラー・アセットマネジメント財務企画部マネージャーの石山貴子さん)。
(*) 第2期末時点保有資産についてはその評価価値を、2018年9月6日付取得資産についてはその取得価格を、それぞれ合計した数値
いちご株式会社 管理本部IR推進部
IR推進部長 吉井 潤子氏
続いて風岡さんと各社のQ&Aセッションがありました。「このところ記録的規模の台風や大雨がありましたが、インフラファンドの業績に対する影響は?」という質問に対して、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントの石山さんが「当法人では施設の一部に小さな影響が出ましたが、地域分散が効いてファンド運営や業績には影響ありませんでした。予想発電量よりも実績発電量が上回っていたほどです」と回答しました。
「安定分配に関する取り組みは?」という質問には、いちごの吉井さんが以下のように答えました。「太陽光発電量は季節変動が大きいのですが、当法人は分配金の平準化をめざして半年ではなく1年決算を導入しています。その結果、10か年という長期間の業績(分配)予想を公表しています」。
カナディアン・ソーラー・
アセットマネジメント株式会社 財務企画部
ファイナンスマネージャー 石山 貴子氏
「インフラファンドへの投資は、社会貢献や地方再生などの意義もあると思います」という風岡さんの話を受けて、タカラアセットマネジメントの熊谷さんは「確かにそうです。インフラファンドが保有する太陽光施設は全国各地にありますし、太陽光発電そのものがエコ。東日本大震災による原発事故などで、再生可能エネルギーに期待する人は増えたはずです」と話していた。
最後のセッションが、女子会企画恒例のグループに分かれての座談会。今回は3つのグループに別れたテーブルへ講師がローテーションで回るようにしました。参加者にとっては、偏りがないさまざまな意見や情報が得られるメリットがあります。
参加者や話題の印象を講師の方々に聞いてみると、今回も前回同様「とても熱心だった」という声が多くありました。
「自分でノートにメモをとったり資料にマーカーを引くなど、とても真剣な様子でした。座談会でも後半は慣れてきたのか、参加者同士で話し合うなど交流が活発になりました」(熊谷さん)。
「『太陽光以外の発電施設には投資しないのですか?』『施設の土地もインフラファンドが保有しているのですか?』など、自分が感じるリスクを消すための質問が多くて、投資への意欲を感じました。まるで機関投資家のようでした」(吉井さん)。
「若い参加者の方が多いのにびっくりしました。ご自宅のソーラーシステムについての質問があったりして、現実的で『女性らしいな』とも。こんなイベントは地方でもやってほしいですね。女性投資家のすそ野を広げるきっかけになると思います」(石山さん)。
風岡さんも「とくにFIT制度について関心が高いなど、参加者の“本気度”はかなり高いと感じました」と話します。インフラファンドの上場銘柄は全部で5銘柄(2018年9月末現在)。今後の市場規模拡大と流動性向上のためにも、“女子力”には大きな期待が寄せられています。
取材・執筆:K-ZONE (掲載日:2018年11月7日)
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