■Event Report
東京証券取引所とプロネクサスは3月7日(水)、女性30名に限定した投資勉強会「J-REIT女子会」を開催しました。「スイーツ片手に投資のお勉強」をテーマに掲げるだけあって、通常の投資勉強会やセミナーとはちょっと違ったイベントになりました。
場所は東京・茅場町の東証会館1Fにある「CAFE SALVADOR」のビジネスサロン。おしゃれな雰囲気のなかで有名店のスイーツ&ドリンクを楽しみながらJ-REITの勉強ができます。参加費はもちろん無料。講師として参加したJ-REIT投資法人の担当者もすべて女性です。
東証の横田雅之・上場推進部長のあいさつのあと、アイビー総研代表取締役社長の関大介さんが登壇。「独立・中立の立場からの基礎講座」として、J-REITの特徴や仕組み、メリット・デメリットなどを改めて解説しました。
アイビー総研代表取締役社長
関 大介氏
「J-REITをひとことでいえば株式と比較して利回りの高い投資商品。直近1年間は概ね4%程度の利回り水準で推移しました。実質的に法人課税を免除されるために利益の90%以上を分配しないといけないからです。投資商品としてのメリットは、利益のほとんどを分配することと、保有する不動産物件の地域やアセットタイプを分散することによって安定した賃料収入が期待できることです」。
「デメリットとしては、内部留保がないので規模拡大には増資が必要で、その際に価格下落や分配金減少が生じることがあります。そのため“革新的に”価格が上がることは期待できません。上場商品なので海外を含む他市場の価格変動に影響を受けることもあります。つられて価格が急落することはありますが、いずれ戻ることが多いです。慌てて売らないことが大事です」。
平和不動産アセットマネジメント
企画財務部マネージャー 三宅 順子氏
次に協賛3社によるミニプレゼンです。講師として登壇したのは平和不動産アセットマネジメント(平和不動産リート投資法人:8966)、スターアジア投資顧問(スターアジア不動産投資法人:3468)、ラサールREITアドバイザーズ(ラサールロジポート投資法人:3466)の3社。それぞれが各REITの特徴・強みをアピールしました。
「スポンサー(運用会社の株主)が不動産会社であることのメリットは、他社に先駆けて優先的に物件を取得できるパイプラインサポートが強いなど、平和不動産グループ全体でポートフォリオ運営ができることです。過去に合併した際に発生した『負ののれん』を安定分配に活用できることも当REITならではの強みといえるでしょう」(平和不動産アセットマネジメント企画財務部マネージャーの三宅順子さん)。
スターアジア投資顧問
財務管理部マネージャー 菅野 顕子氏
「第5~6期(2018年2月~2019年1月末)の予想分配金利回りは巡航(特殊要因を除いた水準)で5.2%。J-REIT平均よりも魅力的な水準です。J-REITとして初めてのメザニンローン債権投資を実行するなど、投資主利益の最大化を追求するアクティブ運用が当REITの特徴のひとつです」(スターアジア投資顧問財務管理部マネージャーの菅野顕子さん)。
ラサールREITアドバイザーズ
財務部兼企画管理部 蓮沼 圭子氏
「当REITは物流適地にある大規模な高機能物流施設に重点投資する物流特化型J-REITです。物流施設はオフィスやホテルなどと比べて賃料が長期安定的です。さらに、eコマースの加速的拡大によって、大規模・高機能な物流施設のニーズは非常に高まっています。財務健全性を表す長期発行体格付AA-(JCR)を取得しています」(ラサールREITアドバイザーズ財務部兼企画管理部の蓮沼圭子さん)。
来場者と講師を交えたグループディスカッション(座談会)もおこなわれました。4つのテーブルに参加者と講師が一緒に座り、ミニプレゼンを聞いた感想や日ごろの疑問、最近話題になっているテーマなどについて自由にディスカッションしました。講師には、アイビー総研の藤浪容子さんも加わりました。
講師の方たちに共通した感想は、「参加者の皆さんがとても熱心に聞いてくださった」ということ。最初は硬さが見られた参加者の皆さんも、慣れてくるに従って積極的に発言するようになりました。なかでも、実際に各REITの利回りを計算してみて、すべて4%を超えて平均で5.0%ということがわかったときは、皆さん納得した様子でした。
女性ならではの感想や意見も多かったようです。
「男性が多いセミナーでは配当(分配)が欲しいという声が多いのですが、今回は投資主優待に興味があるという声が」(アイビー総研の藤浪さん)。
「比較的高齢の男性が多い一般の投資セミナーよりも熱心に耳を傾けていただき、IR担当者としても充実した時間になりました」(スターアジア投資顧問の菅野さん)
アイビー総研 投資情報室
藤浪 容子氏
「男性は銘柄を見つけるプロセスを楽しむ傾向があるようですが、今回は結局どの銘柄がよいのか結論を早く求められることも。ある意味で合理的です」(ラサールREITアドバイザーズの蓮沼さん)。
「『NISA(少額投資非課税制度)で損益通算できないのは残念』『長期保有をお勧めされたが、投資口価格が上がったら売却して売却益も期待したい』のような意見も」(平和不動産アセットマネジメントの三宅さん)。
プログラム終了後に、講師に個別に相談する参加者も少なくありませんでした。じっくり話を聞いて、それでもわからないことを改めて質問する。そのような投資勉強会の好ましい形が「J-REIT女子会」にはあったようです。
取材・執筆:K-ZONE (掲載日:2018年4月23日)
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